問題1 不動産投資の「目的」がはっきりしていないまま始めた
中村:まず、不動産投資の「目的」がはっきりしないまま、始めてしまったケースです。
不動産投資は大きく分けると、「投資」か「節税」を目的にするケースが多いです。
「投資」とは、自分の資産を投じて、お金を増やしていくものですが、マンションを持ったことで思わぬ支出がかさみ、税金還付を受けて少しカバーしているということであれば、それは「投資」とはいえないですよね。
それなら、はじめから「節税」を目的として考える方がいいでしょう。
所得税は累進課税といって、所得が高ければ高くなるほど、基本的には税金が高くなる仕組みです。所得が高く、所得税と住民税をあわせて40%払っているような方が、節税目的で税金の還付を受けると考えるケースもあると思います。
また、将来の「相続」を目的とするケースもあります。相続税を減らすために不動産を購入するという考え方です。
それなら、手元のお金が減っていたとしても、目的は果たしているわけです。
ですが、なんとなく「投資」という目的で始めて、結局手元のお金が減っていれば、それは本来の目的とは違うというわけです。
西山:不動産投資というと「なんとなくもうかりそう」というくらいの気持ちで始める方も多いかもしれません。まずは「目的をはっきり」ですね。
問題2 「不動産投資=賃貸事業」だと、理解していなかった
中村:不動産投資は「賃貸」という事業をすることになります。
つまり、一つの小さな会社経営するようなもの。ですから、「経営者目線」を持つことが大切です。「株式投資」などとは違う視点が必要なのです。
西山:不動産投資というと、ワンパッケージになっていて、物件選びから、手配、その後のメンテナンス等、すべてお任せというケースを思い浮かべる人も多いと思います。ですが、一つの「事業」として考えると、自分以外の誰かに丸投げというのは、大きなリスクが……。
中村:そうですね。「丸投げでOK」だと思って不動産投資を始めてしまったら、それはかなりの勉強不足ですね。
「不動産投資」という“投資”ではなく、「不動産賃貸という事業を始める」という気持ちで始めましょう。
あなたの仕事と置きかえてみましょう。例えば転職アドバイザーの「この仕事がおすすめですよ」と言われるまま、何も調べずにいきなり転職することはないのと同じですよね。
問題3 勉強をまったくしないまま始めてしまった
中村:何もわからないまま不動産投資を始めたことで、失敗するケースは多いです。そのため、私は「1年かけて不動産投資の本を100冊読んでください」とお伝えしたいですね。
100冊読んで、基礎知識をしっかり身につけてから不動産投資を始めれば、大きな失敗は避けられるはずですから、本代の約10万円は決して高くはないと思います。
西山:本を100冊。まずそこで、不動産投資への「本気度」が問われそう!
中村:はい、100冊も読めば、自分が何をやりたいのかが見えてくると思います。
利益率の高い物件を買いたいのか、自分好みの物件を選びたいいのか、楽をしながら投資したいのか……。
「不動産投資」と一言でいっても、新築マンションを一室だけ買う方法もあれば、中古で買う方法もあります。
中古でも、築10年程度から選ぶのか、築40年のものをターゲットにするのか。他にも、一棟もののビルや一軒家、10部屋ある木造アパートなのか、自分はどんな物件を扱って、賃貸業をするのが性格にあっているのかが、見えてくると思うんです。
木造住宅なら、自分で直しながら管理する場合もあるでしょうし、楽して儲けたいと思ったら、全部専門会社にお任せすることになるでしょう。
でも、全部お任せで本当にいいのか。何千万円という借金をするのに、何を任せているのかもわからない状態では、万一問題が起こったときに、その借金が返せればいいですが、返せずに自己破産する人もいる、という大きなリスクを抱えています。
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」なんていわれますが、私はハイリスクだと考えておくことをおすすめしたいです。
投資信託の一種である、複数の不動産に投資する金融商品REIT(不動産投資信託)なら、ミドルリスク・ミドルリターンかもしれませんが、現物の不動産投資は、数千万円ものお金が動くわけですから。
西山:現物の不動産投資の場合、「一つ」の物件に投資することで、土地の場所や建物、入居者などが限定されるため、実は大きなリスクを抱えていますものね。投資の基本は「リスクの分散」です。
自分が住む家だったら、何件も見て、昼も夜も見て慎重になりそうなところ、不動産投資ですと、あまり見ることなく決めてしまうケースもありそうです。本来は、誰かが住んでくれたり、物件を使ってくれたりしてこそ成り立つ不動産投資ですが、その視点が抜け落ちてしまいそう……。
中村:まさに、その視点は大切ですね。「自分が住む住宅」と同じように、不動産投資の物件も、長い付き合いになると考えて、誰かが本当にその物件に住み続けてくれるか、という視点は非常に大切です。
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