『日本企業のM&A、1~3月過去最高 7%増 脱炭素などで』についてTwitterの反応



脱炭素を受けた次世代技術の開発が提携の背中を押す

新型コロナウイルス禍で停滞していた日本企業によるM&A(合併・買収)の再開が鮮明になっている。1~3月の件数は前年同期比7%増の1058件となり、過去最多になった。渡航制限で手控えていた海外企業の買収も3月は16カ月ぶりに増加した。脱炭素などで収益構造の見直しを迫られる企業が多く、事業再編が活発化しつつある。

M&Aの助言会社であるレコフが調査した。1~3月のM&A(出資も含む)の件数はデータの収集を始めた1985年以降、同期間として最多となった。20年4~6月にはコロナ禍で22%減の831件まで減少したが、同7~9月から増加に転じ、3四半期連続で増えた。

金額ベースでみると、1~3月は3兆9287億円と前年同期比2倍になった。3月に発表した日立製作所による米IT(情報技術)企業のグローバルロジックの買収額が1兆円を超え、全体を押し上げた。

国内企業同士のM&Aは1割増の843件だった。特に3月は372件と3割弱増えた。脱炭素を受けた次世代の環境技術への対応が業界再編の背中を押している。東京証券取引所が22年4月に予定する株式市場の再編なども見据え、親子上場を解消する動きも出ている。

トヨタ自動車いすゞ自動車は3月下旬、2度目となる資本提携に踏み切った。トヨタの豊田章男社長は「(電動化などの)CASE革命で状況は一気に変わった」と指摘。子会社の日野自動車を含めた3社で提携した。前田建設工業は2月下旬、前田道路前田製作所と経営統合し、持ち株会社を設立すると発表。親子上場を解消する。

日本企業による海外企業へのM&A件数は3月に増加に転じた。日本企業は対面での交渉を重要視してきたため、コロナ禍の渡航制限で資産査定などに影響が出ていた。「オンラインを使った交渉などに徐々に慣れた」(大和証券コーポレート・アドバイザリー第三部牧野宏生部長)ことが増加に転じた背景にあり、海外企業を対象とした案件はワクチン接種の広がりなどで今後も増えるとみられる。

年間ベースのM&Aは19年の4088件が過去最高だ。1~3月はこれを上回るペースでM&Aが実施されている。4月も4割増の422件と増加が続く。400件を超えるのは2カ月連続になる。日本企業の事業再編への意欲は高く、21年は年間としても過去最高になる可能性がある。