『実は黒字経営でも6割が廃業に…後継者不足がもたらす中小企業の危機』についてTwitterの反応
自社株を“ほとんど移転しない”…税理士が教えてくれない「第4の事業承継」のメリット(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 自社株を“ほとんど移転しない”…税理士が教えてくれない「第4の事業承継」のメリット(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース Yahoo!ニュース (出典:Yahoo!ニュース) |
企業の後継者不足で、社長の高齢化がさらに拡大
個別にデータを見てみましょう。まず年代別の構成比です。全体に占める各年代の社長が占める割合ですが、2021年は以下のようになりました。カッコ内の数字は、2020年のものです。
30歳未満・・・・・・0.2%(0.2%)
30代・・・・・・3.2%(3.4%)
40代・・・・・・17.1%(17.5%)
50代・・・・・・27.6%(26.9%)
60代・・・・・・26.9%(27.3%)
70代・・・・・・20.2%(20.3%)
80代以上・・・・・・4.7%(4.4%)
同レポートによると、社長が交代した企業において、社長交代前と後の平均年齢は、交代前が68.6歳だったのに対して、交代後は52.1歳となり、平均で16.5歳の若返りを果たしたことになっています。上記の年齢別の構成を時系列で見ると、50代の比率が2016年以降、年々上昇しているのは、50代に経営のイニシアティブが移っているからと考えられます。
ただ、だからといって社長交代がスムーズに移行しているのかというと、実はそうではありません。同じく時系列で社長の年齢別構成比をみると、70代と80代以上も、2016年以降は右肩上がりで上昇しているのです。この年代で年々、社長の構成比が上昇しているのは、後継者へのバトンタッチが上手く行っていないことが原因と思われます。
実際、同レポートでは社長の年代別に後継者の有無を確認していて、その数字は「60代」が約半数、「70代」が約4割、「80代以上」が約3割、それぞれ後継者が不在であると回答しています。これはなかなか深刻な問題です。後継者が見つからない会社はどうなるのかというと、事業の継続が難しくなります。結果、自主廃業の道を選ぶしかなくなります。
事業の将来性とは裏腹に、後継者不在で廃業へ…
大企業であれば、後継者が優秀かどうかの問題はありますが、基本的に後継者不在ということにはなりません。後継者不在の問題を抱えているのは、中小企業においてです。
中小企業庁の「事業承継マニュアル」によると、廃業を予定している中小企業のうち約3割は、廃業の理由として「後継者の確保が難しい」という点を挙げています。さらに言えば、廃業を予定している企業のうち4割超が、「今後10年の事業の将来性がある」と回答しているにも関わらず、廃業を選ばざるを得ない状況にあります。
東京商工リサーチの調査によると、休廃業や解散した中小企業のうち、6割は売上高当期純利益率がプラス、つまり黒字だったとされています。黒字なのに後継者がおらず、廃業を選ばざるを得なかったのです。
これは経済的にも非常に大きなネガティブ要因です。黒字企業は基本的に法人税を納めています。中小企業のうち6割が黒字なのに廃業しなければならなかったということは、そこから得られていた法人税が無くなることを意味します。経営者の高齢化と後継者難が今後も続けば、廃業に追い込まれる中小企業は今後も増え続け、結果的に法人税収の減少につながっていく恐れがあるのです。
また、中小企業の廃業は、日本経済全体にも大きな影響を及ぼします。少し古い数字になりますが、経済産業省と中小企業庁が2019年に発表した試算では、中小企業の廃業によって、2025年までに約650万人の雇用が失われるのと同時に、約22兆円ものGDPが失われるということです。日本のGDP総額は540兆円程度なので、実に4%ものGDPが失われる計算になります。すでに2022年ですから、今の日本経済は約22兆円ものGDPを喪失する過程にあると言えるでしょう。
後継者不足に悩む中小企業の一方で、M&A仲介業者の業績は好調
では、どうしてここまで後継者不足に陥っているのでしょうか。理由はいろいろあります。昭和の時代において、自営業の家庭に生まれた子供は大人になった時、家業を継ぐのが当たり前でした。これは、中小企業庁の「事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会」の第1回目(2016年4月)で、事業承継方法の変化について言及した際に用いられた数字を見ると明らかです。1980年代に行われた事業承継では、92.7%が親族内承継でした。
ところが、時間の経過と共に親族内承継の比率はどんどん低下し、近年においては、親族内承継が34.3%まで低下しているのです。すでに、自営業の家に生まれた子供が、親から事業を引き継ぐ時代では無くなったことを、この数字は物語っています。
このように、親族内承継の割合が減った一番の理由は、やはり少子化でしょう。かつてのように子供が4人、5人もいれば、誰かが家業を引き継ぐことも十分に考えられましたが、今は一人っ子家族が増えており、その子供が家業を引き継がないとなると、その途端に後継者難に陥ります。
もちろん、子供が引き継がないのであれば、会社の社員から後継者を選ぶという手もありますが、問題は後継者に指名された人間が、経営者が持っている株式を全額買い取れるだけの財力があるかどうかという点です。
また、中小企業の場合、会社が抱えている銀行借入に、経営者の個人保証が付いているのが普通です。したがって、後継者が会社の経営を引き継ぐ場合は、その個人保証まで引き受けざるを得なくなります。果たして、そこまでの負担を背負ってまで、経営的に脆弱な中小企業の経営を引き受ける人物が、その会社内にいるのかということになると、そこは大いに疑問です。
昨今、日本国内で企業のM&A(合併・買収)の件数が右肩上がりで増え続けているのは、こうした事情があるからです。M&A情報を提供するレコフデータによると、リーマンショック前の2006年のM&A件数は2775件で、2011年は1687件まで落ち込みましたが、その後は順調に回復し、2017年には3000件を超えました。
コロナ禍で経済が停滞した2020年はやや落ち込みましたが、トレンドとしては右肩上がりが続き、2021年の件数は4250件を超えています。後継者難の中小企業が、会社を売却しているのです。現在、M&A仲介会社で株式を上場している企業は5社あります。その大半が順調に業績を伸ばしている背景には、中小企業の後継者難が背景にあることがいえるでしょう。
(出典 @jitaku)舘村真二(デジタル警備隊)
@jitaku実は黒字経営でも6割が廃業に…後継者不足がもたらす中小企業の危機https://t.co/UFPt5fujtl